【アタラメンバーに聞く】尖ったアタラメンバー、人生の転機になった一冊を教えて!〜マーケティングチーム編〜
こんにちは。アタラのマーケティングチームです。
“職人集団”と呼ばれることの多い、アタラメンバー。“職人”と呼ばれるからには、そんな人生の方向性を決めた“何かきっかけ”があるのではないか……。
そう考えた私たちは、人生の転機になった本、その一冊をメンバーに聞いてみました。
アタラの役員から各チームの「人生の転機になった一冊」をここまで紹介してきました。今回は、コーポレートサイト、Unyoo.jp、gluサイト、BIサイト、メールマガジン、セミナー運営、このnoteなどを通してアタラに関する情報発信を担当する私たち、マーケティングチームメンバーの「一冊」をご紹介します。
※各チーム「人生の転機になった一冊」はこちら
「よくわからない」を楽しむ姿勢を身につけられた『伝染るんです。』
R.Tの人生の転機になった一冊
いつ:小学校
きっかけ: 兄弟姉妹の推薦
エピソード:たしか姉が友達から借りてきて、たまたま読んだのがきっかけです。
感銘を受けた点:「不条理ギャグマンガの傑作」と名高い本作。まともなところを探すのが難しいくらいユニークな登場人物(かわうそ君は現在「東京新聞」のキャラクターになっていますね)の言動とシュールな内容に、子どもながらに衝撃を受けました。
自分の理解を超えた現象や価値観と出会ったときに、「は? 意味わかんない知らない頭おかしい」と切り落とすのではなく、それを多角度から面白がったり、「これはどういうことなのだろう?」と想像力を膨らませることの面白さと大切さを学びました。あらゆることに「わかりやすい」が求められすぎている今、「よくわからない」を楽しむこの姿勢は、大人になってからもさまざまなシーンで役に立っていると思います。どんな人に読んでほしいか:ゼロヒャク思考になりがちな人とか?
役立っていること:知らないこと、わからないことでも楽しむことができています。
『伝染るんです。』何度読んでも、その意味を人に解説することなんてできない、だからこそ何度も読んでしまうんですよね。
「わかりやすく伝える」が使命の業務に携わっていると、なにか忘れてしまっていることがたくさんありそうです。また読み返してみたくなりました。
強みに着目する考え方で生き方が変わった『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす』
保田智子の人生の転機になった一冊
いつ:40代
きっかけ: 友人の推薦
エピソード:子育てと書籍の編集の仕事の両立で悩んでいたとき、「強みを知って活かすためのストレング・スファインダーっていう勉強会があるよ!」と知人から聞き、参加しました。できないこと、弱みにばかり目が向いていた自分には、その考え方自体が目からウロコでした。
感銘を受けた点:クリフトンストレングス(旧:ストレングス・ファインダー)は、177の質問に1時間くらいかけて答えることで、34個の資質について順番をつけて強みになりうる隠れた才能の源泉を見つけ出してくれるものです。
どうしてもある程度のことがすべてできなければならないというカルチャーのなかで子育てしながら仕事をしていたころ、まずは時間が制約されている、というところから始まり、できないことにばかり目が向いてすべてに対して自信喪失していました。 しかし、この書籍に出会ってから、そうだ、弱みではなく強みを活かして、それ以外は人に助けてもらいながら生きればいいんだ!と気づき、目の前の霧が晴れたように世界が明るく見えたことを覚えています。
結果、好きだった本の編集者という仕事から転職して、強みを活かせる環境に身を置くことに。編集者として培った「強み」の部分を本以外の部分に活かすという形にも発想を転換でき、今に至ります。どんな人に読んでほしいか:自信喪失に陥っている人、「できない」ばかりに陥っている人
役立っていること:編集者として培った「強み」の部分を、コンサルタントの皆さんが記事を書いたりされるときのお手伝いに直接活かせているかなと思います。
自分の回答にコメントもなんだか難しいのですが(笑)。事象に対しても、個人に対してもダメ出し、アラ探しばかりしがちな日本でも、ぜひ強み・長所にフォーカスして活かす、褒めるということがもっと浸透すれば、もっと能力を発揮できる人が増えるのではないかと常々思います。
何にも考えずに笑いたい人へ『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』
相馬由理の人生の転機になった一冊
いつ:大学
きっかけ: その他
エピソード:大学の図書館でたまたま
感銘を受けた点:誰もが描いたことがありそうな絵に「記憶スケッチ」と名付けたのも「アカデミー」と評論スタイルにしたセンスにも脱帽。秀逸なツッコミで、人前で読むと肩を揺らしてしまうくらい笑えます。
ただただ面白い本かと思いきや、一見「下手」の一言で終わりそうなものを別のものに例えてみたり、味わい深くして笑いをとってくる視点が、何事もものの見方次第で変わるんだな、という人生で大切なことを意外にも教えてくれます。それと小気味よい語り口から、言い回しひとつでこんなにも笑いを誘えるのかと日本語の奥深さを知りました。どんな人に読んでほしいか:何も考えず笑いたい人、コロナ禍で心が疲れぎみの人へ
役立っていること:焦ったりいっぱいいっぱいで心が乱れたときも、これって一歩引いて見てみたら面白いなとか、はたと思い返したらおかしかったなと自分にツッコミを入れると心が少し健全に保てる気がします。あとは造形のとらえ方に意識が向いた(気がする)ので業務でアイキャッチの配置などにうっすら役立っているのかもしれません...(笑)
かなりこれまでとは違う分野の1冊の登場です。いつもUnyoo.jpやnoteのアイキャッチはじめ、ビジュアル面のクリエイティブを担当している相馬の1冊です。
消しゴム版画家、コラムニストとして活躍されていたナンシー関さん。20年前に急逝されたニュースを見たときはとてもとても信じられませんでした。独特の観察眼からのテレビ批評が有名でしたが、このモノの見方がアタラのクリエイティブに反映されているとか?(いないとか?)
広告のクリエイティブは数字やロジック以外の場から生まれるのではないか 「広告批評」 マドラ出版
石渡久美子の人生の転機になった一冊
1.いつ:高校
2.きっかけ:
メディア上での推薦(尊敬する人、自分がファンの人による推薦)
3.エピソード:
一番最初に購入したのは、1994年刊行 175号「東大ってなに?」です。
当時大ファンだった音楽家 小沢健二さんが表紙だったこと、同じくファンのクリエイティブディレクター 佐藤雅彦さんと小沢健二さんの対談が興味深かったこと、東京大学をテーマにするという ”攻めた” 号だな、と思ったことが購入のきっかけでした。 (当時この号の「広告批評」は攻めている、と世間でも話題になっていたように思います。)
作家の橋本治さん、映画評論家でフランス文学者である蓮見重彦さんら、東京大学卒業生による「東京大学」という世間から見た ”ブランド” や ”教育・大学の在り方” を考察するコラムが大変刺激的で面白く、この号は今でも大切に持っています。
4.感銘を受けた点:
「広告批評」は業界誌、ビジネス誌とも言い難く、取り扱われたテーマは多岐に渡り、CMのみならず、音楽、映画、美術、文芸、アニメ、漫画、ファッション、デザイン、政治や世相...本質的な「クリエイティブとは何か?どうあるべきか?」を問う特集ばかりでした。
映画評論家 淀川長治さんの「広告批評別冊 淀川長治の遺言」が2冊目の購入だったように記憶していますが、「世界のコマーシャル」特集からは日本とは全く違った感性の広告を通じ世界に憧れるきっかけを得たり、2007年刊行 316号「Web広告10年」特集からはアナログからデジタルへの移行の狭間を経験している世代だからこそ出来ることを意識して仕事をしようというきっかけを得たり、”クリエイティブ”と呼ばれるものの背景を知り、影響を受けた特集号は複数に渡り、購入した号はいまでも時々読み返しています。
5.どんな人に読んでほしいか:
デジタルを含む広告業界やマーケティングを志す方にお薦めします。
「広告批評」が休刊を宣言した2008年は新聞、雑誌、ラジオ、TV、4大マスメディアへの広告予算配分が緩やかにインターネット広告へと移行を始めた時期でした。
30年の長きに渡り、マスメディア広告を中心に取り上げていた「広告批評」は自分たちの役割は終わった、と自ら幕引きを行いましたが、寂しさと共に、時代の変化を敏感に捉えているからこその英断だ、と感じたことを覚えています。
2022年現在、電通が毎年発表している「2021年 日本の広告費」において、インターネット広告費は4大マスメディアの広告出稿費用を合算した広告費を上回ったとのレポートがあがり、アタラの事業の核である運用型広告も広告出稿には欠かせないものとなりました。
PDCAを高速で回していき、KPIに対して最適化が求められる運用型広告において、かつてのマスメディア広告のように億から数千万円単位の大きな予算を掛けた壮大な広告を作るのは現実的と言えないでしょうが、動画広告やデジタルサイネージ広告も活況となってきた昨今、再び「クリエイティブとは何であるか?」という本質に向き合う時期がきたようにも感じています。
もちろん、広告出稿される方々からすればお客様に商品を購入いただくことが目的にはなるでしょうが、「広告」とは夢が伝わる物語を伝えるもの、そして企業の哲学を伝える大切なコミュニケーションの場でもあったではないかと思います。
キャッチコピーで言葉を紡ぎ、企業の世界観や温度を伝えていく時に必要とされる「クリエイティブ」は数字やロジック以外の場から生まれるのではないかと改めて感じています。
ジャンルの垣根を飛び越えた対談からは人間の生活の延長線上に「広告」があることを改めて思い起させてくださるはずです。
是非一度、図書館や古本で手に取って読んでいただきたいです。
6.役立っていること:
幅広い視点、視野、視座が求められるマーケティング業務において、ロジカルであることを意識するのはもちろんのこと、温度感を大切に、伝えた先にあるものが相手に喜んでいただけるもの、人を笑顔にするものであって欲しい、という哲学を持ち仕事を進めていくのに役立っているように思います(これは単に、他人から見た自分がそうであって欲しい、という願望かもしれません(笑))。
トリを飾るのはマーケチームの司令塔、石渡の1冊でした。
「広告批評」私も大好きな雑誌でした。広告の形は変化してきているけれども、刊行されていた当時と変わらぬ形の広告も決して消えてはいないものばかりなのはどういう意味を持つのか。改めて考えさせられました。
「尖ったアタラメンバー、人生の転機になった一冊を教えて!」シリーズは今回で終了です。楽しんでいただけたでしょうか。読んで見たいと思った1冊にもしこの記事をきっかけに出会えたという方がいれば、とても嬉しく思います。
「アタラメンバーに聞く」シリーズは、今後も続く予定です。お楽しみに!
※所属、役職等は記事公開当時のものです。