営業実績進捗ダッシュボード:【連載】BIツールのダッシュボードはこう作る(デモあり) 第1回
こんにちは、アタラ合同会社コンサルタントの川田貴俊です。
アタラのデータコンサルタントは、入社後にまずDomoというBIツールの認定資格試験を受けて、合格できたらコンサルティングの現場に出られるルールになっています。
試験を通してDomoの使い方を覚えるだけでなく、ビジネス課題を解決するためにどうすべきかのベストプラクティスを学びます。そして最後の関門として、架空の企業とビジネス課題を設定して、Domoを使ってどのように解決するかをプレゼンする課題があります。
本記事では私が受験した際に作成したダッシュボードを紹介し、どのような意図や工夫を盛り込んだかを紹介します。
試験用ではあるものの、
自分の営業経験
営業統括部門へのデータ活用支援の経験
を基にしたものなので、実際のビジネスへの応用も十分にできるものだと自負しています。
以下の流れで解説します。
企業と課題の設定
1. ストーリーの流れを作る
2. 利用者の思考負担を減らす(色)
3. 利用者の思考負担を減らす(形)
企業と課題の設定
試験ではこのような設定をしました。
■想定企業:全国に営業所を持つ人材会社
■利用者 :営業部門の部長・課長層
■ビジネス課題
規模の拡大に伴って、営業手法・マネージメント手法が属人化している。
そのため、再現性を持って安定的に成果を出し続けることができていない。
この設定に対して、こうすれば解決できると仮定したものが下記です。
“営業の型”を作り、誰でも安定的に成果を上げられるようにする
そのために、全員が同じものを見て、考え、アクションを起こせる“数字を見る型”を作る
ここまでが自分で用意した設定で、ここで言う“数字を見る型”がダッシュボードです。そしてそのダッシュボードは“営業の型”を作りやすい=状況を正確に読み取れて取るべきアクションを起こせるものであることが必須となります。
先に結果をお見せすると、こちらが完成したダッシュボードになります。
こちらから実際に操作もできます。
これを作る上で私が工夫したのが下記の3点です。
ストーリーの流れを作る
利用者の思考負担を減らす(色)
利用者の思考負担を減らす(形)
1. ストーリーの流れを作る
ダッシュボードを作る時に、思いついたグラフを作ってはダッシュボードに並べ、作っては並べ…ということをやってしまいがちです。
悩み過ぎて何も進まないよりはよいのかもしれませんが、このアプローチだと、
後からいろいろ修正が発生して、手戻りが多くなる
見た目の統一感がなくなる
元となるデータがツギハギだらけになり、後々使いづらいものになる
何をしたいのか分からないものが生まれてしまう
一貫性がないので、メンテナンスが大変になる
苦労はしているので愛着が生まれ、客観的に見ることができなくなる
などのマイナスが生まれやすくなります。
こうならないためにも、ダッシュボードを作るときは最初にどんなストーリーを持たせるかを熟慮することがとても重要です。
もちろん途中で修正が入ることは実際にはあります。しかし最初の段階で
誰が見るか
その人の課題は何か
課題解決に必要なアクションは何か
アクションをとるために必要な情報は何か
これらを明らかにしておけば、何をどう見せるか(=ダッシュボードの構成)が大きく変更することは少ないはずです。
このダッシュボードを作るにあたって設定した内容は下記になります。
誰が見るか
→ 営業部長(または課長まで。営業メンバーは見ない)その人の課題は何か
→ 営業メンバーによって成果にばらつきがある&再現性がない。課題解決に必要なアクションは何か
→ 数字を基に、どこに問題があるかを特定して対策を考えられること。そしてそれを簡単かつタイムリーに行うこと。アクションをとるために必要な情報は何か
→ 最終結果=“案件数”、その元となる“商談数”、さらに元となる“行動数”のリアルタイム情報。
利用者の目線を持ち続ける
また、作成作業を進めていくと、ついつい作成者の目線になってしまうことがあります。しかしストーリーが適切に考えられていれば自然とユーザーの目線で考えることになるので、これをやらない手はありません。
このダッシュボードでは、営業現場で注視されている指標を重要な順番(ゴール→スタート)に並べることで、
案件数(顧客からの依頼数)が目標に対してどれだけ獲得できているか?
↓
案件獲得に直結する商談(顧客との電話 or 対面での会話)数がどれだけ実施できているか?
↓
商談数に直結する行動量(電話を架けた回数、飛込訪問の回数などを含むアプローチ含む)はできているか?
というストーリーを持たせています。
このダッシュボードを使用するときは、
結果に問題はあるのか?
↓
あるのであればその手前の要素に問題はあるか?
↓
あるのであればさらに手前は…
という順番で画面の上から下へスクロールしながらデータを深堀りしていきます。これは営業現場のマネージャー、プレーヤーが日常的に行っている思考プロセスの流れを、そのままダッシュボードに落とし込んだ結果です。
ユーザーは誰で、日々どのように考えているかを反映させてストーリーを作るのは意外と難しいものです。私は営業を経験したのちにデータ活用に関する仕事をすることになったので、自分の経験から作りましたが、ダッシュボードの作成者がユーザー側の経験を持っていることは多くないと思います。
実際にはユーザーと細かくコミュニケーションをとりながら、ふだん何を見てるのか?どう考えているのか?を理解して、それをどうダッシュボードに落とし込んでいけばいいのか?を問い続けることがとても重要です。
今回の記事はここまでとして、第2回は
2. 利用者の思考負担を減らす(色)
3. 利用者の思考負担を減らす(形)
について解説していきたいと思います。
第2回記事はこちら。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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