【イベントレポート】ビジネス革命、その先へ「Domopalooza Japan 2022」オープニングセッションより
SaaS型データ活用プラットフォーム「Domo」を提供する、ドーモ株式会社が主催するカンファレンス「Domopalooza Japan 2022」が、2022年9月7日(日本時間)にオンラインで開催されました。
多種多様な業界のDomoユーザ企業が登壇し、データ活用の事例や今後の業界展望等のセッションが開催されました。本イベントの参加レポート第1弾として、オープニングセッションの内容をお伝えします。
登壇者は、以下の日米Domo代表者の2名でした。
Domo, Inc. チーフエグゼクティブオフィサー ジョン メラー 氏
ドーモ株式会社 プレジデント ジャパンカントリーマネージャー 川崎 友和 氏
本記事では、Domo Japanの最近の取り組み、今後の展望などをお伝えするため、川崎氏のパートにフォーカスしてお伝えします。
日本-アメリカのSaaS導入数は8.7 対 110
セッションの冒頭では、日本企業とアメリカ企業のSaaS製品の導入状況の比較がありました。
日本企業はコロナ禍の前後で1社当たり平均5.6→8.7と導入数が伸びましたが*、2021年時点のアメリカと比べると8.7対110とその差は12.6倍もあります**。
*出典:メタップス株式会社「コロナ期のSaaS導入変化でふり返る2020年」
**出典:BetterCloud, Inc.「State of SaaSOps 2021」
また、別の調査によると、
日本の導入状況はアメリカの約6年遅れ
国内企業のIT投資額が少なくなったわけではなく、投資先のバランスの結果
であるとのこと。
IT先進国アメリカと日本の違いを端的に表した結果と言えそうです。
DomoはSaaS型BI国内市場 3年連続No.1
これに続いて川崎氏は次の言葉を強調しています。
「Domoは創業時からブレていません」
どういうことかというと、
製品誕生時からDomo自体がSaaS製品であること
他SaaS製品との連携を強化し続け、コネクター(※1)数は現在1,000を超えること
SaaS製品乱立によるデータのサイロ化(※2)の解消に力を入れていること
です。
※1. コネクター:SaaSを含む外部ツールとデータ連携を行うための機能
※2. サイロ化:業務プロセス、アプリケーション、システムが孤立し、情報連携がなされていないこと
それに加え、
モバイル活用
シームレスな共有・コラボレーション
セルフサービス型BI
AI、NLP(自然言語処理)
などの昨今のBIトレンドに見られる機能も以前から搭載しているため、オールインワン=ワンストップで提供できるBIツールであることを強調しています。
このような強みを軸に国内でのDomo活用を広げていった結果、2021年9月からの1年間で国内でのユーザー数は42%上昇、データ行数39%上昇し、SaaS型BI国内市場において3年連続No.1という結果を出すに至ったとのことです。
Domo Japan 注力ポイント
以上の流れを踏まえつつ、今回は初の日本開催の大型イベントということもあり、国内ならではの新機能・取り組みの紹介が3点紹介されました。
国内SaaS製品とのコネクター開発を強化
Domo Buddiesの発足
データアンバサダー制度の提唱
1. 国内SaaS製品とのコネクター開発を強化
従来は他社SaaS製品とのコネクターは本国アメリカのみでの開発だったそうですが、国産のSaaS製品も多く普及している、かつ国内Domoユーザの要望に応えるため、国内にもコネクター開発専属チームを設けたとのことです。
すでに下記企業のツールとのコネクターがリリース済みです。
株式会社ウェザーニューズ:気象データ
株式会社オービックビジネスコンサルタント:勘定奉行クラウド
Sansan株式会社:Sansan
freee株式会社:freee
LINE MUSIC株式会社:LINE MUSIC
2. Domo Buddiesの発足
2022年3月に活動を開始したDomoのユーザコミュニティ「Domo Buddies(ドーモ バディーズ)」の紹介もされていました。
私もいくつかBuddiesのイベントに参加していますが、ユーザの生の声、Tipsなどが聞けてとても有意義な時間を過ごせたと思っています。
Domoユーザの方であれば一度覗いてみてはいかがでしょうか。
当日はBuddiesメンバーによるセッションもありました。そのレポートは後日公開予定です。
3. データアンバサダー制度の提唱
もう1つ、こちらはまだ育成支援プログラムのリリースに向けて準備中であるという内容でしたが、「データアンバサダー」という概念を提唱していました。
データアンバサダーとは、ビジネスの現場を理解している人が、経営のビジョンを持ったうえで、IT部門との橋渡しを行う役割を「専任」で全うする人を指し、DX成功にはこういったポジションの人を組織に配置する必要があるとのことでした。
こちらはプログラムの開発をすすめているそうなので、ATARAメンバーとしてもウォッチしていきたいと思います。
※データアンバサダーについてはこちらもどうぞ。
以上が、国内向けのトピックとして挙げられていた3点でした。
Domoで何ができるか? ドーモのDomoの使い方
締めくくりとして、ドーモ社内でのDomo使用事例が紹介されていたので、こちらについても触れたいと思います。
「営業マネージャーの皆さん、こんな悩みありませんか?」と題して、
期初に着地予想ができない(期=3ヶ月)
CRMがあるのに、なんでいつもExcelなの?
営業がタイムリーに情報をアップデートしない
上層部への報告書作成が嫌すぎる
どこの企業にもありそうな不満ですが、ドーモではこのように解消しているそうです。
期初に着地予想ができない
3ヶ月タームのうち始めの2ヶ月はDomoの機械学習を使用し、最後の1ヶ月は人の予想を採用しているそうです。
この方法だと精度・工数のバランスがよいそうで、AIだからと言って妄信せず、“人が行ったほうがよいことは人が” 方式をとっているのが印象的でした。
CRMがあるのに、なんでいつもExcelなの?
営業がタイムリーに情報をアップデートしない
この2点については、Salesforce Writebackコネクターを使って解決しているそうです。
Writebackコネクターとは、Domoを入力として、他のSaaSへ書き込みを行う機能のことです。
Domoに実装した着地予想のインターフェースから、各商談の確度、金額などを入力し、それをWritebackコネクターでSalesforceへ定期的に書き変える設定をしておくことで、Excelを介することなくDomoと他SaaSとの同期を取っているわけですね。
上層部への報告書作成が嫌すぎる
これは以前からある機能ですが、実装済みのカード、ダッシュボードが埋め込まれたメールをスケジュール配信することで、手動でのレポート作成・送信といった煩わしい作業から解放されているとのことでした。
おわりに:全体を通してのコメント
国内初開催のDomopaloozaということで、どのようなテイストになるのだろうかという期待をしての参加でしたが、個人的には期待以上の内容でした。
従来のアメリカ開催のpaloozaでは、日本語字幕付きのセッションがいくつかある、日本企業のセッションもいくつかある、という程度の日本語対応でしたので本国優先の感は拭えませんでした。
それが国内開催ということで各企業のセッションもニューストピックも日本ならではということで、興味を引く内容であると同時に、どう活用していったらよいだろうかというイメージもわきやすかったです。
Domoの創業者はとても日本びいきのジャシュ ジェイムズ氏で、日本のマーケットに対して並々ならぬ想いがあったと聞いています(製品名のDomoも日本語の「どうもありがとう」からきています)。
そういった創業者の意志や、国内マーケットの伸びなどから本国以外での開催は日本が初という運びになったのだと思います。
個人的にはデータ活用に関する仕事を始めたタイミングでDomoに出会い、データという無機質なものが簡単にビジュアライズできることに感動を覚えました。また、オールインワンなので、メンテナンス・ガバナンスが楽というのもとても大きなメリットだと感じてます。
国内のDomoユーザがどんどん増えて、日本ならではの取り組みや本国への逆輸入などが生まれてくるといいなと切に願います(もちろん、国内に限らずユーザが増えてほしいと思ってます!)。