企業のデータ活用カルチャーに必要な「データアンバサダー」とは?
こんにちは。アタラのCEO 杉原です。
ドーモさんが、企業のデータ活用に必要不可欠な新たな役職「データアンバサダー」を提唱しました。
このデータアンバサダーは、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功に導くために、データ活用を全社に展開し企業文化として根付かせる重要なポジションとして新たな役職」と定義づけられています。
ドーモさんは、これまでもデータ系人材として、CDO(Chief Data Officer / Chief Digital Officer)、データエンジニア、データサイエンティスト、データアナリストを提唱してきました。それに加え、また新しい「データアンバサダー」。「アンバサダー」って何だ?と思われる方もいるかもしれませんので、ちょっと調べてみました。
どれも「データアンバサダー」に当てはめてみても、まさに言い得て妙だと思うのです。「筆頭利用者」でもあり、「ファン」でもあり、「情報伝達者」でもあり、魅力を伝える「大使」だったりするということです。
ドーモさんのプレスリリースでは、「社内におけるデータ活用が浸透しない大きな要因として、データが経営者層や各事業部門の内部に抱え込まれてしまう『データのサイロ化』により、データの収集、管理が難しいことに加えて、『データを全社的に共有、分析して、業務やビジネスに生かしていこう』という『企業文化』が未成熟な点が挙げられます。」という背景のもと、「データアンバサダー」は「データ活用の活性化のために必要な新たな役職で、企業のDX化を加速させるためには必須である」としています。
弊社では、デジタルテクノロジーを土台にし、既存のビジネスモデルを変革することを目的とする、本格的なDXとまではいかないまでも、そのとっかかりとなるデジタライゼーションのプロジェクトをドーモさんとともに数多く進めてきました。その中で、正直うまくいったプロジェクトもあれば、うまくいかなかったプロジェクトもあります。
うまくいかなかったケースは、上記にあるような組織のサイロ化問題を突破する力も意欲も、一部にはあるものの、全体としてはなかったことが理由として多かったと思います。
逆にうまくいったケースでは、共通のアプローチ法があったように感じます。データアンバサダー的な役割の人が自ら組織内で動き、トップを含め上層部に動いてもらうことでトップダウンも取りつける、かつ、現場チームやキーとなるメンバーとコンセンサスを取りつつ調整し、スモールスタートから成功体験を積み上げ、全社的なプロジェクトとしてサイロを突破していく。データ活用の文化を醸成することに成功した企業には、こうした共通したアプローチが見られました。
残念ながら、この「データアンバサダー」が中心人物となるプロジェクトはまだ少ないのが現状です。ただ、この素養を持ち合わせ、企業の中から変革をしたいと思っている人は、組織の中に間違いなく存在していると思っています。今回ドーモさんとしては、その象徴的な役職を提唱することで、世の中のチェンジエージェント候補者が名乗りを挙げ、企業変革の一旦を担ってもらいたい、という思いからの提言だと勝手ながら思っています。
2022年3月14日に開催されたJBpress主催のオンラインイベント「DXweek 2022 Spring」で、「デードリブン経営で最速意思決定 ~リアルタイムデータと迅速アクションの効果~」というタイトルでのパネルディスカッションをKDDI株式会社の西田 圭一さん、アンダーワークス株式会社の代表 田島 学さんと私杉原で行いました。
とても盛り上がり、パネリストの一人としても楽しいセッションでした。3社ともデータドリブン経営や組織文化の醸成にある程度成功しているため、そのケースやベストプラクティスを共有したわけですが、パネリスト3人ともデータアンバサダーだと個人的には思っています。
西田さんは大企業の中で、まさに上記で説明したデータアンバサダーを自ら担い、さりげなく、かつ絶妙な舵取りをされ、変革を地道に後押ししていると考えています。アンダーワークス田島さんと私は中小企業の、しかも代表の立場でもありつつ、データアンバサダーも兼ねている。両方やっている(好きなのでやっちゃってるというほうが正しいかも笑)ので、とにかく意思決定が早く、試行錯誤もいろいろできるという面があったのかと思います。あと、一番率先して使っている。これも大事ですね。
今後もこの「データアンバサダー」を一人でも多く探し出し、共にデータ活用組織文化を作る活動を盛り上げていければと思います。
※この記事の情報、著者所属、肩書等は公開日当時のものです。