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ユーザーエクスプローラー × 顧客データの連携、KPIマネージメントのいろは、コンサルティング事例:ナレッジハイライト2021年6月号

アタラでは、毎週「アタラ道場」という勉強会を開催しています。この勉強会は、媒体のアップデートについての共有や、昨今のマーケティングトレンドに留まらず、メンバーそれぞれの強みを活かしたナレッジの共有を、毎回一人のコンサルタントが「師範」として持ち回りで行っています。

本記事では、勉強会の様子を皆さんにもシェアしたいと思います!

6月は実際に顧客分析に活用できる「ユーザーエクスプローラー×顧客データの連携」、今設定しているKPIは果たして正しいのか?と考え直すきっかけとなった「KPIマネジメントのいろは」、長く支援をしている顧客企業様との歩み、心がけまで紹介してくださった「コンサルティング案件の事例共有」と、内容が盛りだくさんの月でした。

ではさっそくはじめましょう。

◇ユーザーエクスプローラー × 顧客データの連携

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この回は、自社で開発している運用型広告レポート作成支援システム「glu」のアカウントマネージャーや、企業の運用型広告のインハウス支援コンサルティングなどで活躍されている加藤師範の道場でした。

加藤師範は前職で5年間、主に広告運用に携わっていたそうで、その際にgluを活用していたこともご縁となり昨年末に入社されたメンバーです。

最近は通常業務以外で、同じチームの荒木さんと共にGoogle データポータル(以下、データポータル)を使ってデータを可視化したり、Tableauを学んだり、UI/UXについて深堀りするなど、好奇心旺盛に活動されています。

今回の道場は、Google アナリティクスのユーザーエクスプローラーと顧客データを連携させ、データポータルで可視化することがテーマでした。

きっかけは、業務においてユーザーエクスプローラーを使ってウェブサイトへ訪問したユーザーの行動分析を行う際に、情報の分散や動作の重さを不便に感じていたため、それならばいっそデータポータルで可視化すれば便利なのではないかと思いついたことだそうです。

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●今回の施策
ユーザーエクスプローラーをデータポータルで再現しつつ、コンバージョンしたユーザーの行動データも紐づけ、営業活用やサイト改善のヒントを見い出します。

●実施方法
a. まずは、下記3つのステップでユーザーエクスプローラーをデータポータルで再現します。

ステップ1:Googleタグマネージャーで変数設定してクライアントIDとアクセス時刻をカスタムディメンションに取得する 

ステップ2:Google アナリティクスでGoogleタグマネージャーで設定した内容をカスタム定義で設定する 

ステップ3:Googleアナリティクスをデータポータルに連携、ユーザーエクスプローラーを作成する

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b. 続いて顧客データの取得、処理及びクライアントIDとの突合を行います。

ステップ1:問い合わせ/資料ダウンロードデータの自動取得設定 

本来CRMデータをGoogle スプレッドシートに自動出力することは可能ですが、今回はCRM上の問い合わせ日時データとGoogle アナリティクスの日時データが合わないため、Gmail経由の問い合わせ/資料ダウンロードの日時データをGoogle Apps Scriptでカスタマイズして抽出、スプレッドシートに自動反映しました。 

ステップ2:問い合わせ/資料ダウンロードデータを結合する 

問い合わせをしていて、かつ資料もダウンロードしているユーザーや、資料を複数回重複ダウンロードするユーザーもいるため、ユニークユーザーを抽出するためにGoogle Apps Scriptでデータを2つのデータを処理、結合します。

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ステップ3:顧客データとクライアントIDを突合する 

問い合わせ/資料ダウンロードの顧客データを処理・結合できたら、顧客データにクライアントIDを手動入力し、どの顧客がどのクライアントIDと同一なのかを照合します。 

c. 最後、データポータルでユーザーエクスプローラー(顧客データ入り)を可視化します。 

前段で作成したデータをデータポータル上で可視化して表現することで、各顧客がどのようなページを閲覧し、どういった行動を取った上でコンバージョンに至ったかを分析しやすくなります。

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例えば下の図で示しているユーザーは、gluとDomoの事例コンテンツがあるページを閲覧しているので、BIツールに興味があるのではないか、と推察できます。

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◇KPIマネージメントのいろは

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本回は、リクルートスタッフィングに新卒入社後、5年半の間事業統括やDX推進などのプロジェクトでたくさんの経験を積んだ村田師範による道場でした。村田師範は当時DX推進が上手くいかないという話を様々な企業から見聞きする中で、コンサルタントとしてDX推進を手伝いたいという気持ちで、今年アタラに入社されました。

KPI設計、ダッシュボード開発、事業モニタリングからMySQL、Treasure Dataの活用まで、村田師範は幅広い得意領域をお持ちなのだそうです。

今回はBIシステムを活用してダッシュボード化する以前の部分、KPIのバランスをどう取るのか、設定上の考え方について分かりやすく紹介してくれました。

●KPIの基本概念
KPIマネジメントの登場人物

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●やりがちなこと
KPIやKeyの指標がなく、パフォーマンスを報告するだけのレポートを作成するだけではKPIのマネージメントを行っているとは言えず、ただの数値管理になってしまうことに加え、数値間のトレードオフや、指標改善が全体にもたらすインパクトの違いによって、評価する上でどの指標を評価すればよいのかが非常に不明瞭になりがちです。

●一番大事な登場人物‐CSF(Critical Success Factor)
KGIを達成するためにはどのような取り組みが必要なのか、という具体的な指標としてCSFを設定する上では、以下の三つのことを意識するとより成功に近づけるそうです。

  ○Goalを見比べたら、フォーカスしていく
  ○コントロール可能かどうかも重要ポイント
  ○取り組みやすさ×効果の大きさ

●KPIマネジメントのための10のステップ

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赤がついているステップは重要なステップとして、道場ではそれぞれ実例を交えながら因数分解をして解説されました。理論だけではなく、すぐに実践できる気がして、大変勉強になりました。

まとめ
  ○Keyでなければ、ただの数値管理
   ■カギは少ない方が身軽
   ■KPIとウォッチ指標の区別

  ○KPIより先に、KGIとCSFがある
   ■CSFは「カギ」、KPIは「カギを数値化したもの」
   ■CSFは効果度合 × 実現可能度合のバランスで選択

  ○10のステップ/因数分解を繰り返す
   ■細かくなればなるほど具体的かつピンポイントに狙えるが、
    解釈性とレバーは減る。バランスを見て設定
   ■全部を運用するのは難易度が高い。注力ポイントの見定めも必要


◇コンサルティング案件(以下:A社)の事例共有

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本回は、現在アタラのフェローであり、LIFT合同会社の代表取締役でもある岡田師範による道場でした。

今回は数年に渡るクライアント(A社)への支援において、こだわり続けていることを紹介してくださいました。

●A社とのお付き合い
2012年:リスティング広告の運用改善提案+トレーニングのスポット支援
2015年:A社が人員増加するタイミングで再度お声を掛けていただき、広告運用トレーニング+改善提案を実施
2016年~現在:運用型広告を中心に定期的にインハウス支援

●6年強の間、心掛けてきたこと
a. 移動平均で期待値を超える
毎回クライアントの期待を超えるのは難しくとも連敗はしないこと、真摯に向き合うことで、移動平均で期待値を緩やかに超えれば、強い信頼関係が築ける

b. 嘘はつかない
嘘も方便がまかり通る広告業界だからこそ、嘘をつかないことに価値がある

c. 主語は「我々」、「私たち」
コンサルタント側(I)は課題(It)を解決する立場にあるため、同心円の外側にいたほうが課題(It)を相対化でき、より明確で正しく見える。同心円の内側に立つと、まず見えてくるのは課題ではなく、クライアント、組織(We)になってしまい、課題が正しく見えなくなるリスクが大きい。常に組織の中に居るという表明をすることで、課題の解決が共通目的になり、広告領域以外の相談もされるような関係性を築くことができます。

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引用:https://www.openimpact.io/i-we-it

●どうやってただの支援側(I)ではなく、組織(We)に居続けられるの?
  ○NTAサミットのような取り組みを定期的に実施する
  ○広告手数料はコミッション性ではなく、固定フィー性を採用する
  ○広告の運用に留まらず、経営データなどのような外部データも取り入れ、疎結合後可視化して運用する
  ○情報発信・利他主義

今回の道場を聞いて、ただの支援側で居続けるのか、それともクライアントの組織の内側の立場に立って課題(It)の解決に向けて一緒に企業戦略を練ったり、戦ったりする姿勢を取っているかの判断基準は、上で挙げた4点になると思いました。岡田師範だけでなく、メンバー全員がこの思想を共有し、実践しようと試行錯誤する空気が、アタラにはあると思います。

今回の3回の道場のレポートを読んで、もし少しでも共感していただけたり、アタラのビジネスモデルや道場について興味をもたれた方がいらっしゃったら嬉しいです!

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