「職種別の平均年収」をBIツールで可視化してみた
こんにちは。アタラ合同会社コンサルタントの伊藤梓です。
世の中にはいろいろな統計情報がありますが、数字の羅列を見てもよく理解できないことが多いです。そこで、それらの統計情報を理解できるように、BIツールを使って可視化してみます。
今回、可視化するのは職種別の平均年収です。
前回の記事では、日本の年収は他の先進国と比べて低く、成長率も高くないことがわかってしまいました……。
それでも、「自分は日本で頑張りたいんだ!」と思うアナタへ。この記事で職種別の年収を把握して、今後の参考にしてみてください。
1.準備
前回と同様、データを可視化するためにBIツールのDomoを使います。BIツールとは、データを分かりやすく可視化して意思決定を助けるツールです。ほとんどのBIツールは使いこなすために習熟が必要ですが、Domoはグラフのテンプレートが豊富にあり比較的容易に使うことができるという特徴があります。
本記事内ではDomoで可視化したグラフをいくつか載せています。グラフの画像をクリックすると、グラフ専用ページが開きます。グラフ専用ページでは、カーソルを合わせたり、タップすると一部のグラフが強調されたり、数値が表示されます。ぜひ触りながらデータを読み解いてみて下さい。
今回紹介するグラフは数が多く、サイズも大きいのでスマートフォンではなくPCの画面で見ることを推奨します。
可視化に使用するデータは厚生労働省の賃金構造基本調査のデータです。e-Statから取得することができます。
※参考リンク(賃金構造基本統計調査 - 厚生労働省)
e-StatのデータをBIツールであるDomoに直接取り込む方法を紹介する以下の記事の手順に沿ってデータを連携しています。
2.平均年収ランキング
さっそくですが、2022年の職種別の平均年収ランキングを見てみましょう。
トップは航空機器操縦士で、1,600万円だそうです。次いで医師が1,429万円で、3番目が大学教授(高専含む)の1,066万円となっています。年収が上位の職種は専門性が高い職種が多いようです。
またグラフの形をみると、年収は上位に行くほど、線形的にというよりも指数関数的に増えていることがわかります。
なお、グラフの画像をクリックすることで、グラフ全体が確認できます。
3.換算時給ランキング
元データである賃金構造基本統計調査には、各職種の平均的な労働時間データも入っています。年収と労働時間から時給を換算してグラフ化してみました。
左の紫の棒グラフが、換算時給ランキングです。真ん中は年収、右は月あたりの労働時間をそれぞれ換算時給のランキング順に表示しています。こちらのグラフも、気になる職種の棒グラフにカーソルをあわせると、時給や年収・労働時間のデータがわかります。
換算時給ランキングの上位を見てみると、年収ランキングと比べて職種の大きな変動はありませんが、航空機操縦士と医師に関して換算時給の差は年収よりも大きくなっています。
また、労働時間が200時間を超えるような職種に関しては、年収の高低に関わらず換算時給は同程度になっています。年収からだけでは、効率の良い働き方ができる職種かどうかはわからないということですね。
4.年収の成長率
次は各職種の年収の時系列変化をみてみましょう。
この折れ線グラフは2010年の年収を基準(=100%)としたときの、各年度の年収の比率をあらわしたものです。折れ線が多いので、どの線がどの職種を指すのかが分かりづらいと思います。2022年度の比率のみを棒グラフにしたものを右側に表示しているので、気になる職種にカーソルを合わせてみて下さい。カーソルを重ねた職種の折れ線グラフが強調されるので、見つけやすくなります。
2010年に対する2022年の年収の比率を見てみると、9割以上の職種で年収が増加しているという結果になっていますが、実感はあるでしょうか?物価の上昇を考えると、実感はあまりないかもしれません。
さいごに
いかがでしたか?
本記事では、職種別の年収などのデータを2種類のダッシュボードで可視化してみました。ご自身の職種や気になる職種にカーソルを合わせて、換算時給や成長率などを確認してみてください。あくまで調査データのグラフ化なので、その職種の年収や労働時間以外の情報は反映されていません。年収や労働時間も調査データ内の平均値なので、実際はばらつきがあります。一つの参考情報として捉えてください。
今後も世の中の統計情報を可視化していくので、お楽しみに!