時代が変化しても失われない“プロフェッショナル”の本質。必要とされる人材であり続けるために大切なこととは
デジタルマーケティング支援の領域において、トップレベルのサービスを展開しているアタラ合同会社。今回インタビューしたマネージャー/コンサルタントの高瀬優氏は、アタラに蓄積された知見の深さに加え、プロフェッショナルとしての流儀に魅了されて入社することを決めたのだという。
“プロ”をうたうことは簡単かもしれないが、プロであり続けることができる人はいったいどれだけいるのだろうか。未経験のスタートから数多の研さんを積み重ねて現在のポジションを築き上げた高瀬氏の言葉から、プロであること、あり続けることの本当の意味を探る。
インプットとアウトプットの繰り返しで磨かれる、自分ならではの専門性
――高瀬さんはデジタル領域未経験でありながら、その第一線を走るアタラに入社されています。これまでどのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか?
高瀬:大学卒業後、新卒で入社したのは総合電機メーカーです。4年ほど在籍し、法人営業や販売推進業務に従事していました。退職後は趣味で続けていたバンド活動に本腰を入れ、約2年間CDのリリースや全国ツアーを経験しています。
――意外な経歴です。そこからなぜデジタルマーケティングの領域に?
高瀬:当時の私たちは事務所などには所属せず独力で活動していました。バンドの認知を広げるために試行錯誤する日々だったのですが、そのときに出会ったのがデジタルマーケティングです。この領域で働く方々と触れ合う中で、とても面白い世界だと感じて、自分の軸を大きく変えようと決意しました。
いくつかの会社から内定をいただく中でもアタラを選んだのは、さまざまなソリューションを武器に幅広く支援できると考えたからです。また、多くの領域でプロフェッショナルと呼ばれるような人たちが集まった「職人集団」だったので、将来的に自分の専門性を高められるとも感じました。
――未経験からのご入社で、不安に思うことはなかったのでしょうか?
高瀬:正直、まったく知らない業界だからこそ、入社するときにプレッシャーを感じることはなかったんですよね。ただ、もちろん最初は大変でした。専門用語が非常に多く、チームミーティングの内容にまったくついていけず無力感にさいなまれたこともあります。
そこから自分を引き上げてくれたのは、周囲の先輩たちのサポートです。最初は先輩が主担当の案件にサブで入らせてもらい、現場での実践を通じてデジタル広告の基礎的な知識やスキルを身につけていきました。それに、サブ担当として案件に関わることで得られるのは知識だけではありません。先輩の背中を見ながら、クライアントとのコミュニケーションやプロとしての立ち居振る舞いを学ばせてもらいました。吸収したことを自分のメイン案件に生かしながら、自分ならではの型を生み出していく。アタラには、深い知見を身につけながらそれを実践で生かしていくサイクルが整っています。
また、この業界の最新情報は欧米発のケースが多いのですが、現地の一次情報を日本語に翻訳しながらコラムとしてアウトプットする経験も今の自分に生きていますね。インプットとアウトプットをバランスよく実施することで、早期に成長することができると実感しています。
――この仕事のやりがいはどんなところだと感じますか?
高瀬:新たな手法やテクノロジーがどんどん生まれてくる世界なので、純粋にデジタル広告やマーケティングという領域に面白みを感じています。だから日々のインプットもまったく苦にならないんですよ。移動中に海外メディアのポッドキャストを聞いていることも多いのですが、仕事のためというよりは好きな分野の最新知識を調べているような感覚。今は本当に毎日が楽しくて仕方ありません。
あとはやはり、クライアントのビジネスゴールを達成できた時はうれしいですね。デジタル広告は、届けたい情報を必要としている人のもとへ高い精度でお届けし、その成果をデータとして分析することもできます。逆にいうと結果に対してごまかしがきかないわけですが、だからこそ責任もやりがいも非常に大きな仕事です。
アタラはコンサルと広告代理店、双方の知識とスキルを有する企業
――競合他社と比較したアタラ独自の強みや特徴について教えてください。
高瀬:まったく同じビジネスを展開している企業はないと思いますが、一部の事業で競合するのは広告代理店とコンサルティング会社ですね。まず代理店と比較すると、彼らは広告枠の仕入れと販売で収益を出すビジネスモデルであり、顧客から受け取るフィーは「広告費の何十%」と決められています。そうすると、できるだけ多くの枠を広告主に買ってもらった方が利益は上がることになります。たとえば、お客さまのビジネスゴールにとってそこまで必要のない広告だとしても、売り上げのためには売らざるを得ない状況も出てくるわけですね。
一方でアタラは広告代理店ではなくコンサルティング会社です。あくまでもクライアントの理想に寄り添う、クライアントに伴走するスタイルでサポートしているので、顧客からいただくフィーに関しても広告費から割り出すのではなく、基本的には工数ベースで決定しています。より本質的な支援ができるという点が、広告代理店と比較した時の強みです。
コンサル会社に関していうと、やはり彼らは戦略立案には非常に強い。しかしそれを戦術に落とし込んで実際に運用していくところは我々や代理店の方が強いでしょう。コンサルティング会社がデジタルマーケティングの領域に進出してきたのは最近のことなので、ある意味では仕方ないところでもありますね。
まとめると、「コンサル会社として顧客のビジネスゴールを達成するための戦略作りができる」こと、そして「代理店と同じように広告プラットフォームを深く理解して運用することができる」ことという2つの側面を持っている点が、アタラ独自の特徴だと思います。
――これまでに高瀬さんが手掛けられた事例の中で、特徴的な案件について教えていただけますか?
高瀬:結婚式場のクチコミ情報サイトを運営している株式会社ウエディングパークさんの事例をご紹介します。
クチコミ情報サイトは、掲載されている各結婚式場の公式サイトに誘導することが目的なのですが、我々に課せられたミッションは大きく2つありました。まずはサイト全体の集客および各サイトへの送客数を最大化すること。そしてもう一つが、約1000件の式場になるべく均等に送客することです。
全体の集客数アップについては我々のチームの“運用型広告の最適化”だけで実現できたのですが、送客数の均等化も同時に達成するためには“ダッシュボードの導入”も必要だと判断しました。アタラでは、必要なデータや機能をクラウド上のプラットフォームに統合して一元管理できる「Domo」というBI(Business Intelligence)システムを用意しています。テクノロジーのチームと協働しながらDomoを導入し、式場ごとの送客数や各種KPIをリアルタイムで可視化できる環境を整備。その上で運用型広告チームが細やかな運営をおこなうことで、求められたミッションをクリアすることができました。
各領域のプロが強みを生かして複合的な支援方法を提案することができるのも、アタラの強みの一つです。
限られた条件の中でも、確実に成果を出すために
――さきほど「デジタル広告の世界に面白さを感じている」という話がありましたが、この領域はこれからどのように変化していくと考えていますか?
高瀬:今後、ますます自動化が進んでいくことは間違いないでしょう。この5年間でもかなりのスピードで機械学習が取り入れられています。たとえば広告枠に対する入札の仕組み。私がこの業界に入ったころは、「1クリックいくら」と手動で設定するのが一般的でした。しかし今は1購入あたりにかけられる費用をインプットしておけば、プラットフォームが自動で成果を最大化できるように調整してくれます。
クリエーティブに関しても、いくつかの画像やテキスト、動画といった素材を登録しておけば、ユーザーに合わせて最も成果が出る形で自動的に素材を組み合わせて広告を表示してくれる。この数年ですっかり景色が変わりましたし、この変化はさらに加速していくと見ています。
――自動化が進むことによって、アタラさんのようなプロフェッショナルチームへの需要が低下する恐れはないのでしょうか?
高瀬:単純に考えるとそうですよね。しかし実際には、人の頭で考えなければならない領域は数多く残っています。先ほどのクリエーティブの例でいえば、どういった素材を登録しておくべきかというのもそうですし、そもそものターゲティングやコンセプトメイクといった上流の戦略立案も我々がやるべき項目です。
また、新型コロナウイルス感染拡大後の世の中が大きく変化したように、今後も外部環境が大きく変化していくこともあるでしょう。しかし、現代の自動化技術では外部環境の変化までスピード感をもってインプットすることはまだ難しい。世の中の急速な変化を読み取って適切に対応するためには、プロフェッショナルの知見やアイデアが必要となるのです。
その他にも、GoogleやFacebookのような巨大プラットフォーム以外の多様なメディアが台頭してきたり、クッキーレス(サイト訪問者の履歴を記録するCookieの使用を規制すること)の動きが出ていたり。新しく考えるべき内容はますます増えてきています。
自動化によって単純作業を削減しつつ、本質的な“考える業務”に集中できるようになったともいえますね。私としては素晴らしいことだとポジティブに捉えています。
――高瀬さんにとって、プロフェッショナルとは具体的にどのような人ですか?
高瀬:難しい質問ですね。極めてシンプルに回答すると、“限られた時間の中で確実に結果を残す人”でしょうか。プロとしての意識が低いと、結果が出なくても「もう少し時間があれば……」「こういう外部要因のせいで……」と、つい言い訳を口にしてしまう。そうではなくすべてを自分の責任として捉え、一つ一つ成果を積み上げることで初めて、プロとしての信頼を得られるのだと思います。
また、特にこの領域はとてつもないスピードで変化しています。一度覚えたスキルや知見に安住してしまうと、あっという間に通用しなくなっていくでしょう。過去の実績を誇るのではなく常に現在、または少し未来の技術を身につけるためにインプットし続けることが何よりも重要です。
――プロフェッショナルであり続けるためのインプットを欠かさず、その知見を武器に限られた条件の中でも結果につなげられる人ということですね。
高瀬:プロであり続けることは、決して簡単ではありません。だからこそ、自分が少しでも興味のある領域で、なおかつ企業文化がマッチするような会社を選ぶことが大切だと思います。待遇なども分かりやすい指標ではありますが、お金のためにというモチベーションは長続きしない。中長期的に自分を磨いていくためには、やりたいこととカルチャーフィットを重視していただきたいですね。もしもそうした環境がアタラにあるかもと思った方は、ぜひお気軽にご連絡ください。