Domo事例共有と実践で学ぶ〜第2回 Domo buddies Dayイベントレポート〜【登壇資料公開あり】
アタラ合同会社データコンサルタントの村田です。
2023年6月14日、弊社で導入支援サービスを行っているビジネスクラウドDomoのユーザーコミュニティ「Domo buddies」の年次最大イベント「Domo buddies Day」が開催されました。
第2回となる今回はオンライン+オフラインのハイブリッド開催となりました。筆者はコミュニティメンバーを代表して現地でセッションのスピーカーを務めました。本記事では、Domoのユーザーかつ当日参加者の視点からまとめたイベントレポートをお届けします。
「Domo buddies」とは
「Domo buddies」とは2022年3月に発足した、国内Domoユーザー専用のコミュニティです。
ユーザー同士のつながりができる
知りたいと思う情報が共有される
日々の悩みを相談できる
こうしたコミュニティを目指し、業界も業種も様々なDomoユーザーがメンバーとなり、交流会や勉強会を実施しています。
Domo buddeisの紹介サイト 参加登録もこちらから行うことができます。
2023年6月時点で参加メンバーは400名を越え、筆者をはじめアタラのコンサルタントもメンバーとして月に一度ほどの交流会・勉強会にいつも楽しく参加しています。
Domoを使った、ウェルビーイング経営とは
最初のスピーカーを務めたのは、株式会社PHONE APPLIの北村 隆博 氏。Domoのユーザー企業で、今回のDomo buddies DayはPHONE APPLI様のオフィス「CaMP」が会場でした。
PHONE APPLI様 サービスサイト
以下にCaMPの紹介ページもあります。
ウェルビーイング経営を支援するクラウド
株式会社PHONE APPLIは、「会社が常に成⻑している状態とメンバーが幸せである状態を両立させること」をウェルビーイング経営と定義し、社内メンバーのコミュニケーションポータル「PHONE APPLI PEOPLE」などのクラウドサービスを提供しています。
クラウドサービスはコミュニケーションのハブとなるツールではあるものの、単にツールを使うだけではなく、ルール・ツール・プレイスの三つをセットで整える必要がある、と北村氏は語りました。
Well-being Company ScoreをDomoで可視化
ツールだけではなくルール・プレイスに紐づけてウェルビーイングを実現していくための取り組みとして、Domoの活用事例が紹介されました。
PHONE APPLIでは、組織のメンバーがイキイキ働くための測定指標として、Well-being Company Score(WCSスコア)を設定しているとのこと。毎月回答が必須のアンケートを実施し、集計結果をDomoで可視化。変化を毎月追いかけて、経営指標にしています。
筆者がスピーチを聞きながら特に面白いと感じたのは、出社している人がWCSスコアが高い、という分析結果です。よく出社しているからスコアが高いのか、スコアが高いから頻繁に出社しているのか、の分析はこれからということでしたが、新型コロナウイルス感染症による移動や出社制限が緩和されたこれからの企業にとって、とても関心の高い観点なのではないかと感じました。
Domoを使ってクラウドコストを最適化しよう ~Cloud FinOps実践テクニック紹介~
続いて、ユーザー企業による事例共有セッションが行われました。セッション1は、株式会社メルカリの玉利 文吾 氏によるDomo活用によるコスト削減の事例紹介でした。かつてドーモ株式会社に在籍していたという玉利氏。Domoを知り尽くしているからこそ実現できた効率的なデータ処理方法が紹介されました。
膨大なデータ量を管理・活用しきれない課題
メルカリでは、Domoの他、Google BigQueryやAmazon Web Serviceなど、複数のデータウェアハウスを活用しているとのこと。日々サービス上でユーザー同士の取引が非常に多く行われているため、取得しているデータの量も膨大です。データ量とそれを計算・集計するための処理の負荷が日に日に増加していき、Domo以外の各種クラウドサービスの利用コストが爆発的に増加していたといいます。
しかも、それらのデータを基にした分析用のチャートも決して見やすいものではなく、ビジネス課題の特定がスムーズにできていませんでした。
実態の把握を正しく行うこと
そこでまず玉利氏が取り組んだのが、Domoで実態の可視化を正しく行うことでした。日々積み上げられていくデータ量と、データ集計の利用の実績を推移で可視化する、というシンプルなことから始めたそうです。
玉利氏が特に重要と語ったのは「変化を見ること」。ただ漫然とチャートを眺めるのではなく、「どこが増えている?」「なぜ増えている?」を見ることを習慣づけていったといいます。
ここで具体的なコツとして紹介されたのが、移動平均を使った集計を行うこと。例えば、2月と3月では暦上の日数が3日異なるため、単純に前月比を見るだけでは実態を正しく捉えることはできません。暦上の日数、土日の回数、営業日数などの差異を考慮し正しい判断を行うために、移動平均を使い丁寧にロジックを組んでいきました。
作成した分析用のダッシュボードはエンジニアチームのみではなく、経営層、会計部門にも共有。同じチャートを見ながら各ステークホルダー間で意識のズレを解消できました。取り組みを始める前にはコスト意識が希薄だったエンジニアチームも、次第に自律的に考え対策を打つことができるようになったと、玉利氏は語りました。
最終的には、ツールの利用計画を継続的に見直すサイクルができ、関係者全員が驚くほど大きく最適化することができた、とのことでした。
3ステップでわかる!Domo民主化までの道のり
セッション2は、アタラ合同会社データコンサルタントの村田(私です)によるセッションでした。前職時代にDXの社内推進担当部門でDomoの活用・普及活動をしていた際の事例を共有させていただきました。
Domo導入の初期から全社展開に至るまでの約6年間の歩みを上記の三つのフェーズに分け、具体的な取り組みのコツと、大切な心構えを共有しました。
特に重要だと感じているのが、最後のフェーズでまとめている「ひろげる」ではなく「ひろがる」である、というキーワードです。
Domoは他のクラウドサービスと比較しても、ユーザーフレンドリーで親しみやすいUIであることが特徴です。業務上仕方なく使うものではなく、楽しく使える・使ううちに仕事が楽しくなるものであるので、ユーザーのそんな気持ちに蓋をせずに活用がひろがるようにするためのガイドラインが大切だと話しました。
当日のスライド資料はこちらに公開していますので、詳細が気になる方はぜひご覧ください。
Domo buddiesの紹介
次に、Domo buddiesの幹事メンバーによる、Domo buddiesの活動内容の紹介が行われました。
Domo buddiesには技術分科会、データ活用分科会、Domo Hirogaru分科会の三つの分科会があり、それぞれのテーマに則った勉強会や交流会のイベントを定期開催しています。
まず、各分科会の活動内容が紹介されました。
技術分科会
技術分科会では名前の通り、Domoを使い倒すための機能やデータ加工の技術を研究・実践しています。
筆者も何度か勉強会に参加したことがありますが、認定コンサルタント顔負けの技を持ったメンバーの方による高度機能の紹介や、意外と知られていない機能紹介など、あらゆる種類の実践的な企画が行われています。
データ活用分科会
データ活用分科会では、スキルをみんなで高めていくことを目的とし、実際にメンバーが自社で使っているダッシュボード、カードを共有しあい、データの活用を推進していくためのナレッジ共有を行っています。
多くの場合、Domoの社内主管であるDX推進担当部門は少人数で構成されており、Domoの担当者は社内で味方が少なく孤立してしまいがち。業界・業種・規模の垣根を越えてみんなで協力しあってデータ活用を広げていこう!という心強い味方に出会えるはずです。
Domo Hirogaru分科会
Domo Hirogaru分科会では、「Domoっていいよねってど~言わせる?」をテーマに、仲間と一緒にDomoの運用、展開、定着化を目指し、取り組みアイデアの共有を中心に活動しています。
私のセッションの中に登場した「ひろげるではなく、ひろがる」というワードはHirogaru分科会の中で合言葉のように使われているワードで、Domoが自然とひろがるようにするためのワクワクする取り組みを日々実践しています。
これは!と注目したのが、Domoの社内展開のキーパーソンであるMajor Domoについての認定制度をつくることができないか?という提案でした。筆者のようなコンサルタント向けの認定制度はありますが、現在、ユーザーの方向けのスキルのアセスメントや資格はありません。実現に向け、分科会内でも具体的な企画をこれから進めていくとのことで、とっても期待しています!
Domo buddies専用インスタンスお披露目
分科会からの共有の後には、Domo buddiesメンバー向けに新たに開設されたDomoインスタンス(専用環境のこと)が紹介されました。
これまでDomo buddies内での事例共有は、共通のインスタンスがないために成果物を共有することや共同開発行うことなどにハードルがあり、もどかしさがありました。
ついに待望のリリース!ということで、メンバーの喜びの声とともに紹介がなされました。私も即申し込み・開設をし、これから使い倒していく予定です(笑)。
仲間と楽しむ!Domoワクワクワークショップ
最後のコンテンツとして、オフライン参加者に限定したDomoを使ったワークショップが行われました。
会社をまたいだDomo buddiesのメンバー6~7人でチームをつくり、ダッシュボード作成を6チームの対抗戦形式で行う、という内容でした。
架空の自動車メーカーの販売実績データが各チームに配布される
どのような示唆が得られるか? ビジネス課題の特定のためにどのような集計をつくればよいか? をチーム内でディスカッション
ダッシュボードの全体構成を検討する
モブプログラミング形式で、各メンバーが順々に作成を進める
という形式で、先ほど紹介されたDomo buddies専用インスタンスに早速全員がログインし、約90分間でみんなで作成を進めるという、スピード感のあるワークとなりました。
実際のビジネスシーンを想像しダッシュボードの構成を考える人、チャートを手早くつくり上げる人、より見やすいダッシュボードにするためのデザイン調整をする人、などの役割分担で協力して進め、あっという間の90分でした。「自分の会社ではよくこういう使い方をしているよ!」「こんな便利機能あるの、知ってました?」といったコメントが飛び交い、Domo使用歴や業界などがごちゃまぜになった混成チームならではの発見もありました。
最後には、各チームがダッシュボードをお披露目し、投票で優勝チームを決定しました。以下が当日参加したアタラのメンバーが入っていた3チームのダッシュボードです。
チーム「デッドリフト」
チーム「ぷよぷよ」
チーム「倍返し」
そして、優勝したチーム「デカモニター」のダッシュボードはこちら。
コーポレートカラーの赤に全体の色を合わせ、各情報の配置とサイズにも細かな心配りがされたダッシュボードですね。90分でこのクオリティはすごい…!
どのチームが優勝してもおかしくないくらい、それぞれの個性が光るダッシュボードが出そろいました。同じテーマを扱っても十人十色のダッシュボードができる、というDomoならではの面白さを感じ、非常に勉強になりました。
おわりに
Domo buddiesメンバー皆さんのDomo愛と熱気に圧倒され、登壇者であることや本記事執筆の宿題を抱えていることを途中で忘れるくらい、楽しく参加させてもらいました(もっと写真撮っておけばよかった)。
本記事の途中で「Domoの担当者は社内で味方が少なく孤立してしまいがち」と書きましたが、本当にこれがよくあるんです。Domoは非常にユーザーフレンドリーな設計がされているサービスなので、愛着を生みやすく、みんなで使うことにピッタリなはず。なのに、定着化するまでは担当者は孤独な闘いを迫られることが多く、非常に辛いのです。
Domoの活用にお悩みの方は、Domo buddiesに是非ご参加ください!
また、かつて同様の経験をしたベテランユーザーの方も、後輩ユーザーはあなたの経験知を待っています。ぜひご参加いただき、一緒にDomo buddiesを盛り上げていただけると嬉しいです!
Domo buddiesのご参加はこちらから