Google Insights Lab:ナレッジハイライト2022年2月号
アタラでは、「アタラ道場」という勉強会を開催しています。この勉強会は、広告プラットフォームのアップデートについての共有や、昨今のマーケティングトレンドに留まらず、メンバーそれぞれの強みを活かしたナレッジの共有を、毎回一人のコンサルタントが「師範」として持ち回りで行っています。
今回紹介する道場は、2022年1月に開催された清水師範による「Insights Lab」の話です。
清水師範は、運用型広告の黎明期から広告代理店でプレイヤー・管理職を務め、アタラ合同会社では「伴走型インハウス支援」を中心としたコンサルティングだけでなく、テクノロジーによるマーケティング課題にも従事。業界領域並びに経験がとても豊富なシニアコンサルタントです。
Insights Lab(インサイト・ラボ)とは
「Insights Lab」とは、Googleプロジェクトの一つです。
コミュニケーション戦略には、目的把握(何のため)、戦略立案(誰に、何を)、戦術展開(どのように)の三つのステップがあります。Insights Labは、この2ステップ目である戦略立案のうち、訴求価値の「何を」をGoogle Surveyを活用して明らかにする手法です。
清水師範曰く、Googleを含む広告媒体は、機械学習を駆使して効果最大化する機能を提供しつつ、第一想起やユーザーインサイトを如何にクリエイティブ化してユーザーとコミュニケーションしていくか?という要素もGoogle側で支援するプロジェクトのようです。※一部の広告主のみ)。
Insights Labの実施手順
Step1:Google Surveyの設定
先述のように、Insights Labは主にGoogle Surveyで収集したデータの元に、訴求価値を明らかにする手法のため、Google Surveyの実施は必須です。
Step2:各ブランド訴求価値の利用意向などへの影響度を定量化
上の図の通り、各セグメントに刺さる想定の訴求価値(メッセージ)が、商品の利用意向にどの程度影響しているかがわかります。
影響度を定量化するには、目的変数(利用意向の採点)と説明変量(ブランド価値の採点)を定義して、ロジスティック回帰分析を適用します。そうすることで、利用意向に影響する各ブランド価値の順番がわかります。
Step3:アウトプット
設定した質問によって分析視点が異なりますが、一般的なアウトプットの例として、下記3つがあります。
例1:ブランドイメージスコア
設定したセグメントごとのブランドに対するイメージをスコアリングします。
例2:オッズ比
オッズ比は統計用語で「ある事象の発生率」を判別する分析手法と定義されています。わかりやすく言うと、結果に対して複数要因がある中、どの要因が強く影響しているかを定量化して、順位を付ける指標です。
オッズ比(≒回帰係数)は1を基準とし、1から離れているほどその事象が起きる/起きない確率が高いと判断できます。
図の例ですと、新しいアイシャドウを利用したい「18~24才」の人にとって、「カラーバリエーションが豊富」が利用意向に一番影響を与えていることがわかります。
例3:競合分析
設定した質問に競合パーツも含まれていると、各ブランド価値を4象限で分けて競合分析もできます。
広告主AがInsights Labを実施した内容
25~24才、35~44才で年代別に分けて下記質問でGoogle Surveyを実施
①あなたはサービスAを知っていますか
②サービスAに関するイメージを教えてください。「○○○○」(7星採点式)
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⑩最後に、サービスAをどの程度利用してみたいと思いますか?(7星採点式)
※競合のサービスB、サービスCも、サービス名のみを入れ替えて実施
詳細分析結果の開示はできませんが、上記の質問結果で競合と比べて年代別の認知度、各イメージについてのオッズ比を分かります。さらに、競合差別化視点で競合優位性が低く、自社利用意向への影響力が高い(右下象限)訴求を洗い出し、競合の状況も把握することで、今後の戦い方が見えやすくなります。いわゆる「己を知り相手を知れば、百戦も危なくない」ということですね。
このような分析結果を用いて、クリエイティブ戦略に落とし込み、より効率的なプロモーションに結びつけていきます。
まとめ
普段自分が担当する案件ですと、ユーザーインサイトの定量調査からクリエイティブ戦略まで比較的上流からの提案機会は中々ありません。他案件の取り組み事例が共有され、運用型広告に閉じず、GoogleマーケティングプラットフォームであるGoogle Surveyの仕組みも知ることができ、視野が広がった道場ならではの一回でした。
アタラは部署間、案件間をまたいたナレッジ共有の環境に恵まれています。もしこのような道場、そしてアタラに少しでも興味をもってくださったら、一緒に知見を共有しあいませんか。
※この記事の情報、著者所属、肩書等は公開日当時のものです。
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