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第4回:令和4年版の情報通信白書からデジタル化の動向を確認する

こんにちは。アタラ合同会社 テクニカルコンサルタントの児玉典晃です。

総務省が毎年発表している、ICT分野の政策や動向について取りまとめた「情報通信白書」の令和4年版が7月に公表されました。

今年で50周年ということもあり、50年間のICT分野の制度、サービス、テクノロジーの変遷や今後の役割への展望など特集していました。興味がありましたら是非ご一読ください。

国内外のデジタル人材に関するデータも見られるので、気になるトピックとあわせて、いくつかご紹介できればと思います。

クラウドサービス市場について

世界のパブリッククラウドサービス市場規模(売上高)の推移及び予測

全体的にシェアの伸長率は上がっていますが、SaaS(Software as a Service)、IaaS (Infrastructure as a Service)のシェアが高く、今後のシェア率も順調に伸びていく予想になっています。

世界のパブリッククラウドサービス市場のシェア

世界のパブリッククラウドサービス市場は、2021年上期は上位5社(Microsoft、Amazon、 IBM、Salesforce、Google)が全体の48.1%を占めており、寡占化が進んでいます。

クラウドサービスの利用状況

日本のパブリッククラウドサービス市場は、2021年は1兆5,879億円(前年比28.5%増)となっており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機としたオフィスの移転・縮小に伴うクラウドへの移行やDX(デジタル・トランスフォーメーション)、データ駆動型ビジネスを進めるた めにクラウドを活用したICT基盤の強化が進むことなどによって今後も拡大が予想されるそうです。

クラウドサービスの効果

デジタル・トランスフォーメーション(DX)の動向について

DXの取り組み状況(日米)

DXに関する取り組みを進めている企業の割合(「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」、「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取り組んでいる」、「部署ごとに個別でDXに取り組んでいる」の合計値)は、日本企業は約56%であるのに対し、米国企業は約79%と、日本企業の方が低いです。

デジタル化の目的(国別)

DXに取り組む目的については、日本企業は「生産性向上」 が約75%と最多であるのに対し、中国企業は「データ分析・活用」が約80%と最多となっています。

DXの効果、デジタル化の効果を「新規ビジネス創出」、「生産性向上」、「データ分析・活用」及び「商品・ サービスの差別化」の観点に分けて調査したところ、各観点に共通して、日本企業は「期待以上」の回答が米国・中国・ドイツの3か国と比べて少なく、一方で「期待するほどの効果を得られていない」の回答は4か国の中で最も多いそうです。

デジタル化を進める上での課題や障壁(国別)

デジタル化を進める上での課題・障壁として、日本企業は「人材不足(67.6%)」の回答が米国・中国・ドイツの3か国に比べて非常に多く、次いで「デジタル技術の知識・リテラシー不足 (44.8%)」と、人材に関する課題・障壁が多いです。

デジタル人材の不足状況(国別/CIOやCDO等のデジタル化の主導者)

また、各国の企業における「CIO(Chief Information Officer)やCDO(Chief Digital Officer)等のデジタル化の主導者」、「AI・ データ解析の専門家」といったデジタル人材の不足状況については、日本企業は両デジタル人材に共通して「大いに不足している」と「多少不足している」を合計すると50%を超える結果となり、全体的にデジタル人材が不足している状況にあります。

デジタル人材の不足状況(国別/AI・データ解析の専門家)

特に「AI・データ解析の専門家」は「大いに不足している」が 30%を超え、米国やドイツと比べると不足状況が深刻であることがわかります。

デジタル人材が不足する理由(国別/CIOやCDO等のデジタル化の主導者)

各国の企業でデジタル人材が不足する理由については、日本企業は両デジタル人材に共通して「デジタル人材を採用する体制が整っていない」と「デジタル人材を育成する体制が整っていない」 が約40%と多いです。

デジタル人材が不足する理由(国別/AI・データ解析の専門家)

デジタル人材の確保に向けた取り組み状況(国別/CIOやCDO等のデジタル化の主導者)

また、各国の企業のデジタル人材の確保に向けた取り組みについて質的側面(必要なスキルの確保)から調査したところ、米国企業は「採用(新規・中途両方を含む)」が最も多い 一方、日本企業は「社内の既存人材の配置転換や育成」が最も多いです。

デジタル人材の確保に向けた取り組み状況(国別/AI・データ解析の専門家について)

出典:「令和4年版情報通信白書」(総務省)

ここ数年のデジタル人材の取り組み動向を調べていますが、日本に限らず人材不足に悩まれているようです。
デジタル・トランスフォーメーションという言葉に囚われすぎて手を打てない印象を受けますが、まだデジタイゼーションが進んでいない企業が多いので、まずは企業内活動を(なるべく統一されたデータに集約し)可視化することに注力した方が良い気がしています。

可視化されたデータは、高度な分析ができなくても充分役に立つ情報になります。可視化してしまえば、更に細かく分析を行いたい場合はアナリスト経験者、データが不足していると感じる場合はエンジニア経験者、といった具合に必要なスキルセットが明確になります。よって企業毎に不足している人材の確保に繋げていけるのではないでしょうか。

とはいえ、通常の業務を抱えたままデジタイゼーションを進めることが大変なことは理解しているつもりです。むしろ、一番大変なポイントかもしれません。
対策はいろいろあるのかもしれませんが、デジタイゼーションすることで社員一人一人にどのようなメリットを享受することができるのか、充分に理解してもらう必要があるのかもしれません。

※この記事の情報、著者所属、肩書等は公開日当時のものです。


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